【ディドロ効果】次々に揃えたくなる心理でリピーターをつかむ

  

2018年7月25日  2021年7月6日

自分の理想的な価値の商品を新たに所有すると、その商品のイメージに合った関連商品で統一させたいという心理効果が働きます。このような心理作用を、心理学では「ディドロ効果」と言います。

例えば、ガチャガチャ(ガシャポン)を新しくひとつ買い、それがとても気に入ったら、ついつい2回目、3回目と回してしまう。他のも揃えたい…。あなたはそんな経験ありませんか?

ほんとうに「1回だけ・・・」

と決めて挑んだガチャガチャ。ついつい何回も何回も百円玉を投入してしまいます。

幼少期はお小遣いが決められていたので、強制的に終了していましたが、大人になった今は、コンプリートするまで、永遠とガチャガチャに投入してしまいます・・・

これは心理学でいう「ディドロ効果」が働いているといえます。

このディドロ効果をマーケティングに応用すれば、「売上がアップしない」「リピーター客が増えない」というお悩み解決にきっと役立つでしょう。「揃えたくなる心理」について、ぜひ知っておいてください。

ディドロ効果とは「統一感・一貫性」を持たせたい心理

ディドロ効果(Diderot Effect)とは、自分の生活の中に今までとは違う「理想的な価値」がもたらされるた際、
その新しい理想的な価値に合わせて、所有物や環境を統一させたいという心理効果のことです。

新しくIKEAでのソファーを購入したとします。
ソファだけを買うつもりだたはずなのに、そのショールームでソファの周辺に並べられたダイニングテーブルや、ダイニングチェア、ほかにもダイニングクロスや食器などなど、ついつい展示見本と同じようなテイストの商品で次々に揃えたくなったりしますよね。

またIKEAという比較的安価な家具という点に新たな価値を感じた場合、節約志向の人は低価格な商品で揃えたい、「節約で統一していきたい」と思い、IKEAと同じようなメーカーも探しはじめることもあるでしょう。

このように所有物のみならず環境を統一させたい心理においてもディドロ効果が働いた結果だといえます。

 

ディドロ効果の由来

「ディドロ効果」の由来は、「百科全書派」に分類される18世紀のフランスの哲学者・思想家ドゥニ・ディドロ(1713~1784)が書き残したエッセイ「私の古いガウンを手放したことについての後悔」にあります。

みすぼらしい書斎で生活していたディドロが、ある日、友人から素敵な緋色(赤色)のドレシングガウンをプレゼントされたことから話は始まります。

みすぼらしい古いガウンを捨てたディドロは、暫くすると優雅なドレシングガウンと自分の部屋の家具・所持品が合わないと感じ始めます。

新しい高級ガウンに合わせ、自分や部屋のイメージに「統一感・一貫性」を持たせるため、ディドロは遂に「タペストリー・椅子・机・本棚・時計」など色々なものを新しく買い換える羽目になりました。

文化人類学者グラント・マクラッケンがディドロのこのエッセイを元に、「文化と消費とシンボルと(1988)」で「所有物・環境の調和を求めて次々に物を消費する心理効果」として「ディドロ効果」と命名したのです。

さて、このディドロ効果、冒頭ではわたし自身の経験談をお話しさせてもらいましたが、あなたの身の回りでも、まさにこの効果を利用したビジネスが成り立っています。

なぜ、ディドロ効果が起こるのか?

なぜ人は、統一感を求めるのでしょうか?
人にはもともと、一貫性を持たせて行動を取ろうとする性質があり、それを好みます。
これを『一貫性の原理』と呼びます。
「統一感を持たせたい・・・」というディドロ効果は「一貫した行動を取りたい」と願う、原理が働いた結果と言えるでしょう。
「新しいモノをひとつ受け入れたんだから、他のモノについても受け入れなければ気持ちが悪い・・・」
という心理が働くのですね。

一貫性の原理とは?

「自分の態度・発言・行動などに一貫性を持たせたい」
という、多くの人が持っている心理的な「傾向性」です。
「一貫性」という言葉は「始めから終わりまで矛盾の無い状態である事」を意味しますので、「態度・発言・行動などに一貫性がある状態」というのはつまり、
・言っていることや態度が毎回変わることが無い ・前言った事と今言ってる事が矛盾しない ・前やってた事と今やってる事が矛盾しないといった状態を指します。

揃えたい心理は一種の自己表現

「ガチャをコンプリートしたい」という所有欲や購買意欲そのものが、ひとつの自己表現であるとも考えられます。
人は自分がどんな人間なのかを、持ち物や身の回りの環境によって表現しています。
きっとあなたも好きなものに囲まれることで、心地よさを感じるのではないでしょうか。
わたしは、アディダスの服に全身を包まれている時が幸せです。
上下セットアップのアディダスのジャケット・パンツなんか最高です。
つまりは、アイデンティティーを表現するために、統一感のあるモノを揃えようとするんですね。
これは無意識でしている場合もあります。

リピーターを生むためのマーケティングへの応用

ディドロ効果をマーケティングに応用すれば、ファンやリピーターをつくる商品販売をすることができます。
わりと一般的ではありますが、その方法はセットやシリーズで商品を見せることです。

  • 大塚家具やIKEAといった大型家具店の部屋毎のセットになったインテリア展示
  • アパレル業界ECサイトの、セットアップコーディネートの写真
  • シルバニアファミリーやフィギュアなどが、一式セットで陳列
  • ガチャガチャはシリーズとして販売することで、思わず揃えたくなるようにしている

消費者はセットであることを認識することで、そのうちのひとつを買えばディドロ効果が手伝って、揃えたくなる心理が働きやすくなるんですね。

ディドロ効果をつくるには

揃えたくなる心理を働かせるためには、お客さんのディドロ効果、一貫性の原理を働かせるようにします。
例えば、シリーズのひとつを格安、または無料でプレゼントします。
お客さんが商品を手にして新しい価値を気に入ってくれれば、その他のシリーズもディドロ効果で「揃えたい」という心理が働きやすくなります。
ということは、まずは「入口商品」を作ることはひとつの有効な手段です。
これは昔ならがらの手法なので、あなたもご存じだったかもしれません。

「入口商品」はマーケティングでは「フロントエンド商品」と呼びます。
この「フロントエンド商品」は「集客商品」とも呼びます。
利幅が低い代わりに買ってもらいやすい価格設定にして、価値を感じてもらった後に、利幅の大きい本命商品を購入してもらうという、マーケティングの手法です。
この本命商品のことをマーケティングでは「バックエンド商品」といいます。

  • サプリメントの「3か月無料トライアル」
  • Amazonプライムビデオなどで配信されているドラマの「第一話 無料視聴キャンペーン」
  • デアゴスティーニの「初回半額」

などが有名ですね。

スマホのゲームアプリでも、アバターの装備を無料プレゼントしていますよね。
「今なら〇〇貰える!」のような初回限定特典をテレビのCMで見たことがあると思います。
一部「だけ」が豪華になることで、完成形にしたいと感じて揃えたくなります。

気を付けなくてはいけない失敗例

格安の「フロントエンド商品」を作ると、ほんとによ~く売れます。
そんなお客様をわたし達はたくさん見てきました。
それまでどんなに工夫してもピクリとも売れなかった店が、どんどん売れるようになっていきました。
リピーターも増えて、売上がどんどん上がっていきます。
仕事も楽しくなります。
盛り上がります。
これはいける!WEBいける!安売りするなだって?いやいや、安売りすれば売れるじゃん!
・・・
しかし。なにかがおかしい。
とあるお花屋さんを例にあげると、「フロントエンド商品は売れる」が「普通の商品が売れない」
そして「フロントエンド商品ばかりがリピートされている」
考えてみると当たり前の話です。
お客さんは、3本立ちミディ胡蝶蘭を半額で買うと満足します。
「安い」という理由で、また買ってくれるでしょう。
「じゃあ次は正規の値段(倍額)で買いませんか?」と言われると、、
お客さまの答えは「NO!」となるのです。
安いから買ってあげてたのに、2倍も値上げされて、 損した気分にさえなることでしょう。

これはお客さまが安価な集客商品単体に魅力を感じていただけで、
ディドロ効果が働く条件、セットやシリーズで商品をみせられていなかったということになります。

「入口商品」がうまくいく条件

そもそも、「フロントエンド商品」の設計が成り立つには、一定の条件があります。
いくつかありますが、たとえば「続けないと意味がない商品」であること。

髪の毛が元気になるサプリを7日間無料で試して「続けられそう」と思っても、お試しの7日間では絶対に髪の毛は増えませんよね。
そんなサプリがあったらいくらでもお金を払いますよね。
話が逸れましたが、サプリメントは続けないと意味がありません。

ネット配信ドラマも同様です。
第一話だけ見て面白くても、最後まで見ないと話しが全くわかりません。

化粧品も同様です。
肌質が良くなった・・けど、続けないと効果が無くなってしまいます。
続けないと意味がないから、リピートするんです。

このように、初回を安くすればリピートしてくれる、という安直なものではなく、全体を見越した設計が必要です。
「儲からない入口商品」だけが売れている状態は「成功」とは言えませんよね。
しかしながらこの失敗に陥ってしまう方が意外と多いのです。

利益の出る商品が売れてこそ成功です。
そのために大切なのが「バックエンド商品」や、そこに繋ぐ「オファー」や「セールスレター」の設計です。
全体を見越した設計がないと、大抵失敗します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
ディドロ効果とは、身の回りを「自分の理想的な商品」で統一させたいと感じる心理作用のことです。
人が本質的に持っている、一貫性の原理が働くために起こります。
ディドロ効果をマーケティングに応用すれば、商品をセットやシリーズにすることで、統一させたい心理が働きやすくなります。
商品のクオリティが高ければ、リピーターやファンが生まれやすくなる販売方法でもあります。
ビジネスを展開する際には、お客さんにどんな価値観を提案するのかを含めて商品開発をしてみてくださいね。
もちろん、「WEBで売る」ときにも役立ちます。
ブログで集客をして、サイトに訪れたお客様にフロントエンド商品を購入して貰い、どのようにしてリピートしてもらうのか?
ディドロ効果を意識した設計をしてみると、良い方向に舵を切れると思います。ぜひ、意識してみてくださいね。

投稿者プロフィール

田村巧次(タムラコウジ)
田村巧次(タムラコウジ)株式会社コタム代表
WEB制作会社Co-Tam.Inc代表の田村巧次です。
創業当初から、金で買うSEOを良しとせず、その時々の Google ガイドラインに沿ったSEO(ホワイトハットSEO)のみをクライアント提案。 制作したWEBサイトは、一切ペナルティを受けず、9割以上がキーワード検索で1位を獲得。どれもすべて効果の高いキーワードを選定する。制作会社の枠にとどまらず、2011年より、企業の情報発信の重要さをクライアントに提示。
「SEOの知識を正しく活用できれば、必ず集客の力になってくれます。」

  • 中小企業庁 中小企業デジタル応援隊事業 IT専門家(I00024525)

  • WACA認定WEB解析士・上級ウェブ解析士

  • SEOコンサルタント

  • 米国Google認定 GAIQ(*1)(認定資格ID:28179066)
    (*1) Google Analytics Individual Qualification

  • Google モバイルサイト認定(認定資格ID:36523368)

  • Webクリエイター能力手認定試験エキスパート

  • ネットマーケティング検定取得
    WEB利用・技術認定委員会主催

  • 国家資格:システムアドミニストレータ(現ITパスポート)

  • デジタルハリウッドスクールphp TA/講師(2009~2012)

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